将来に対する不安は、たとえば健康や資産など、種類は違っていても誰にでもあるかもしれません。ここでは、将来の経済的な不安から資産運用を考えている方に向けて、初心者におすすめできる資産運用方法について解説します。
※iDeCoおよびNISAはマニュライフ生命では取り扱っておりません。
目次
資産運用とは、自分の持っているお金(資産)を預貯金や投資によって効率的に増やすことです。資産運用と聞くと「ミドル世代から始めるもの」という印象があるかもしれません。しかし、長期化するコロナ禍・不安定な社会情勢において、20代〜30代といった若い世代の方が将来のために始めるケースもあります。
積み立て・預貯金とは、お金を普通預金や定期預金・積み立て預金として銀行などに預け、貯めていく方法です。元本割れすることはありませんが、利率が低く、運用成果は最初から決まっています。貯めることを重視したい方向けのローリスク・ローリターンな資産運用法と言えるでしょう。
「世界共通の資産」といわれる金は、不安定な世界情勢中にも人気の投資方法です。金投資には、金の塊や外国政府の発行する金貨を購入して取引する「金地金」、毎月一定額を支払うことで金を購入する「純金積み立て」、金そのものを買うのではなく、金価格等に連動するように設計された金融商品に投資する「金ETF」や「投資信託」などがあります。 金は、価格の変動や為替変動、盗難といったリスクは考えられるものの、価値が急激にゼロになる可能性は低いです。
不動産投資とは、投資家が不動産を購入し、第三者に貸し出すことで入居者から家賃収入を得る投資方法です。収入を安定させやすいことが不動産投資の特徴です。ただ、入居者を確保できず、空室が続いてしまうと投資計画に狂いが生じます。また、常に地震や火災といった災害リスクにさらされていることもデメリットに挙げられます。
資産管理会社とは、資産管理を目的として設立された会社のことを指します。資産管理会社を設立し、資産を管理した場合には税制面のメリットがあります。例えば所得でみると、個人の所得税は累進課税制度により所得金額の5%~45%の税金がかかります。一方、資本金1億円以下の資産管理会社の利益に対して課される法人税率は23.2%(年所得800万円以下は15%)となり、より所得の高い人ほど税負担の差は大きくなります。法人住民税や設立登記などの費用がかかりますが、すでに多額の資産を有しているのであれば、検討する価値はあるでしょう。
積極的な資産運用方法としては、株式投資や投資信託が挙げられます。株式投資とは、株式会社が発行する株を購入することです。株を購入した人は株主となり、株主は会社の出資者の一人として議決権などさまざまな権利を持ちます。そして、会社の得た利益の分配としての配当金、株主優待などを受けられます。また、株は市場でいつでも売買することができ、購入時より株価が上昇すれば売却して利益を得ることができます。株式投資の特徴として挙げられるのは、株式累積投資(るいとう)などで少ない資金からでも始められることや、さまざまな銘柄(投資先)から自分で選択できることです。ただし、株式相場、金利水準、為替相場、商品相場などの価格の変動や、投資先企業の信用状況の悪化など、さまざまな要因で株価が下落するおそれがあります。また、会社が倒産した場合、株の価値がなくなることもあります。
自分で投資先(株式会社)を決める株式投資とは異なり、「投資信託(ファンド)」は、投資家から集めたお金を大きな資金としてまとめて、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などに投資・運用する商品です。銘柄選定や運用をすべてプロに任せられるというのが、投資信託の特徴です。自分で企業分析などの勉強をしなくても、投資を始めることができます。また、投資先は、国内外の株・債券・不動産など複数組み合わせたファンドもあるので、リスク分散が図れます。ただし、投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。投資した額を下回ることもあります。元本が保証されていないことのほかに、販売手数料や信託報酬などがかかることも知っておきましょう。
税制優遇を得ながら資産運用ができると今人気なのが、NISAやiDeCoです。
2024年から抜本的な拡充・恒久化の方針により新しいNISAが開始しました。2023年までのつみたてNISAの対象商品と同様の「つみたて投資枠」と、上場株式・投資信託などが対象となる「成長投資枠」に区分され、両枠は併用が可能です。年間投資枠は「つみたて投資枠」は120万円、「成長投資枠」は240万円となり、投資上限額は合計で年360万円に引き上がりました。また、非課税保有期間は無期限となり、より長期にわたる投資が可能です。新たに非課税保有限度額が設定され、両枠合わせて1,800万円(このうち成長投資枠の上限は1,200万円)までの保有が可能となりました。口座開設期間が恒久化されたため、いつでも始められます。
なお、2023年までの旧NISA(一般NISAおよびつみたてNISA)と2024年からの新しいNISAは別枠です。旧NISAを利用していても、新しいNISAの非課税保有限度額には影響しません。また旧NISAで投資した商品の非課税期間が終了する際に、新しいNISAの非課税投資枠を適用することはできません(旧制度から新しい制度へのロールオーバーは不可)。
※新しいNISAについて、2024年1月現在の情報です。最新の情報は金融庁のホームページでご確認ください。
iDeCoとは、老後のために自分で資金を作る私的年金の制度で、正式には「個人型確定拠出年金」といいます。自分で掛金額を決め、運用商品(投資信託、預貯金、保険など)を選んで運用します。掛金の上限は、職業などによって異なります。積み立てた資金は、原則60歳以降に受け取ることができます。iDeCoの最大のメリットは、税制優遇があることです。まず、掛金の全額が所得控除になる点です。これにより、所得税や住民税が軽減されます。さらに、運用中の利息や運用益も非課税。受け取り時も税制優遇が受けられます。自分で運用をするので、ある程度の投資知識は必要です。このほか、原則60歳までは引き出せないことも知っておきましょう。
個人年金保険とは、自分の年金を自分で準備するための保険商品です。払い込んだ保険料を保険会社が一定期間にわたり運用します。受取開始時期になると年金形式もしくは一括で受け取ることができます。公的年金だけでは老後の生活に不安がある方や、ゆとりある資産形成を目指す方などにおすすめです。また、税制面でも税負担を軽減でき、払い込んだ保険料は、所定の条件を満たせば、年末調整時・確定申告時に「個人年金保険料控除」もしくは「一般生命保険料控除」が適用されます。
資産運用を始めてみても、期待していた結果にならない場合もあります。資産運用を開始する前に、失敗しやすいポイントを押さえておきましょう。
投資知識や商品理解が乏しい状態で手を出すと、失敗するリスクは高まります。リスクといってもさまざまではありますが、投資を始めるのであれば、どういう相場や為替になったとき、投資先にどんな影響を与えるのかなど確認しておきたいところです。利益だけでなく、マイナスになったときの値動きの幅などもきちんと理解しておきましょう。
老後資金である退職金を無計画に投資に回すのも危険です。まとまった金額だからこそ、失敗すると老後の生活資金が足りなくなってしまいます。投資を始めるのであれば、一括でお金を動かすのではなく、少しずつ積み立てるなど、計画的に行いましょう。
最初にもお伝えした通り、若いうちから資産運用を始める方は増えています。ここでは、世代ごとの資産運用の始め方やポイント・注意点をご説明します。
20代〜30代のうちから資産運用を始める場合、老後までまだまだ時間があるのが強みです。ただ、若いうちは原資が少ない方が多いと思いますので、まずは、半年分あるいは1年分程度の生活費が貯まるまでは、預貯金でコツコツ積み立てをするのがいいでしょう。それから、運用を始めても遅くはありません。まずは、つみたてNISAから始めるというのも良いかもしれません。積み立てに適しているという金融庁の基準を満たす投資信託の中から選ぶので、初めてでもスタートしやすいでしょう。まずは、投資に慣れることから始めてみましょう。
40代〜50代は、ライフステージの変化にともなって生活にかかる費用が高くなりやすい時期です。人それぞれ、収入や支出が大きく異なります。生活資金に支障が出ないよう、無理のない範囲で資産形成を続けることが大事です。急な入用に備えて預貯金をしっかりしながら、退職後の生活が見えてきた方は個人年金保険などの老後の資金形成に直結する保険商品を始めてみるのも良いかもしれません。
退職金を受け取った後に資産形成を目指す場合、不動産や株などへの一括投資はリスクが高いです。まとまった金額であればあるほど失敗した場合の損失が大きいもの。資産運用での失敗を防ぐには、長期・分散・積み立てを心がけることが重要です。ご自身で投資の勉強をするほか、資産運用のプロに相談するのもおすすめです。
目的や目標を決めず、なんとなく行き当たりばったりで運用を始めてしまうと、価額が下がった時、慌てて売却しがちです。運用は、「必ず」ということはありません。買った金額から、増えても損してもいくらまでを持ち続けるかといったルールを決めておくことです。目標や期間を決めることも大切です。「いくらから始めてどのくらいの期間運用するのか」「なんのためにその資金を使うのか」ということです。
元金をいくらから始めるのか、原資を決めて運用をスタートする方法です。言い換えれば、資産運用にまわしてもよいお金を計算してみましょう。今あるお金を「当面の生活に必要な資金」「5~6年程度将来使う予定の資金」「使い道の決まっていない余剰資金」に分け、資産運用に使える額を考えてみましょう。
利回り(年利回り)とは、投資した金額に対する利益も含めた年単位の収益の割合のこと。資産運用をするにあたって、「利回り目標を決める」というのも一つの方法です。利回り目標が高ければ当然利益は大きくなりますが、その分損をするリスクも高くなります。
なお、例えば年利5%の場合、初期投資額10万円で、20年にわたって毎月1万円を積み立てたとすると、将来の運用資産額は4,381,601円となります。
例えば、1000万円や1億円など、目標金額から逆算して積み立て・運用する方法もあります。目標金額を達成するため、積み立て金額や期間、年利などを、具体的に検討してみましょう。
「とにかく元本割れを避け、安定的な資産運用をしたい」という方も多いかと思います。そういった方は、ローリスク・ローリターンの運用方法を選び、コツコツと積み立てをしていくようにしましょう。
どれだけ計画を入念にしても、その通りにはいかないのが人生というもの。不測の事態に備えることも必要です。
資産形成と並行して、万一大きな病気やケガをしたときに保障を受けられるようにしておくと安心でしょう。終身保険や収入保障保険、個人年金保険、医療保険などであれば、不測の事態への備えも万全です。
資産運用を始めるにあたり、書籍を読んだりセミナーに通ったりする方もいるでしょう。それらも有効ですが、まずはプロに相談することから始めるのはいかがでしょうか。一人ひとりの状況やライフプランにあわせた運用方法を指南してくれるので、現実的な糸口になります。
ファイナンシャルプランナー(AFP 認定者)、企業年金管理士(確定拠出年金)
1977 年広島県生まれ。大学卒業後、医療機器メーカー・エアライン系商社で海外営業として勤務した後、ファイナンシャルプランナーに転身。生活に関わるお金の不安を解消し、未来に希望をもって暮らしていくためのお手伝いをする「生活設計のコンシェルジュ」として相談業務や執筆業務に従事。企業や学校での講演・セミナーにも年間100 回以上登壇しており、これまでの延べ聴講者数は2 万人を超え、わかりやすい説明が好評を得ている。
※記載内容および税務上のお取り扱いについては、2024年1月現在有効な法令及び公表されている税制改正大網に基づく内容であり、今後、税制の変更などによりお取り扱いが変更となる場合がありますのでご注意ください。また、個別の税務などの詳細については税務署や税理士など、専門家にご確認ください。
※このコラムの内容は各商品・制度の情報提供を目的としたものです。一般的な説明であり、特定の商品を説明・推奨・勧誘するものではありません。取扱会社などによって、お取り扱いが異なる場合がありますので、各資料などをご確認いただき、ご意向に沿ったものをご検討ください。
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